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しばらくの間をおいて、じいさんが重い口を開けた。
「今までのな。長い歴史の中で、島を出たものはいないというのは知っておるな?」
「はい。そう聞いています」
「実はな…あれ、嘘なんじゃ…」
えー?
俺たちは顔を見合わせた。学校では誰も島から出たことはないし、島から来たものもいないと聞いていたから。
「えっ。あの…いったい、どういうことですか?」
「うむ。わしが聞いた話では、わしの祖父が何人かの島の若者たちで、冒険の旅に出たそうじゃ。しかし、帰って来れたのは、わしの祖父だけであったそうじゃ…」
「…」
「…」
「…」
「…」
俺もミケロもイーピンも、サンでさえも言葉を失っていた。
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