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それは久々の休日。
一馬と、その彼女である美織が一馬の家でくつろいでいる時に起こった出来事。
「ねぇ、一馬」
「んー?」
「もし……もしもね?ある日、大切な仲間や恋人が断崖絶壁な孤島とかへ集められたとする」
「は?なんだ急に」
「いいから黙って聞いて」
「チッ……解った」
舌打ちをしながらも聞く態勢に入る一馬に美織は話を続ける。
「逃げられないように遠隔操作の爆弾を装着、最後の一人になるまで殺し合わないといけない。おまけに武器はランダムでハズレ有な上、期限は三日……一馬なら……どうする?」
「なんだ、その突拍子もない話は」
読書中、話し掛けられ声の方向を向いたものの突然、訳の解らない事を言う美織の言葉に呆気に取られたように言う一馬。
「いや、あのね……結構前に上映した映画が最近テレビでやってて、ふと自分だったらー……とか一馬だったらー……とか考えちゃったのよ」
「ハッ、くだらねぇ……んな事、答えるまでもね…」
「くだらなくなんかないッ!!答えてよ……一馬なら……どうする?」
「美織……」
一馬の言葉を遮るように叫んだ美織の顔は哀しさと動揺を表していて真剣に答えを求めているのだと一馬に思い知らせるのだった。
そんな美織に一馬は僅かに考え込むような素振りをした後、こう紡いだ。
「もし俺が、その状況下に置かれたとしたら――…」
「殺す」
「……え?」
その答を聞いた瞬間、美織は思わず頭がフリーズし硬直した。
普段は俺様で誰がなんと言おうが関係ないといった態度の一馬ではあるが実際はそうではなく責任感が強い仲間や恋人を何よりも大切にしている事を知っている美織。
それを知っているからこそ一馬なら脱出方法や違う手段を講じるだろうと考えていた美織は予測を裏切られ顕らかな動揺を見せるのだった。
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