もしもキミが……

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「一馬、それ……本気で言ってるの……?」 「……嘘を吐いて俺様になんの得がある。第一答えろと言ったのは、お前だぜ美織」 「……そうよ、ね」 絞りだすような震える声で、なんとか話し掛ける事が出来た美織であったが返ってきた言葉は先程の返事の肯定で美織は愕然とし肩を落とすのだった。 「何、落ちこんでやがる」 「一馬は……自分さえよければ、それでいいの…?」 「……随分な言い草だな」 「当たり前よ」 向けられた侮蔑にも似た言葉に顔を歪める一馬に拗ねたように美織は言う。 「……ったく面倒な事、言ってんじゃねぇ。俺は……お前さえ生きてりゃ他は、どーでも構わねぇんだよ」 「……え?」 溜息と同時に一馬の口から放たれた言葉に美織は呆気に取られる。 「ねぇ、一馬……もしかしてとは思うけど、さっきの質問の返事って私を護る上での行動って事……?」 「あぁ?当たり前だろ。好き好んで荻島達の間抜けな死に面なんざ拝めたもんじゃねぇからな」 「うわ、何げにヒド…」 「本当の事だ」 「さいですか……」 親友とも言えよう荻島という男子の名前を出しながらも皮肉混じりに言葉を吐き出す一馬だが、その言葉が照れ隠しだと言う事を美織は知っている。 本当は仲間が大切で、かけがえのないものだと知っている一馬。 恐らく先程言った状況下になったとしても一馬が迷い躊躇う事は必至だろう。 だが、美織は一つだけ読み誤っていた。 一馬には美織がいるのだ。 仲間より己の命よりも大切で最も失いたくない最愛の恋人である美織が。 それを美織自身が自覚していなかった為、今回の予想を裏切られる結果となったのだった。 「……けど、それってなんか納得いかない」 「はぁ?何がだよ」 「……だって、その状況下では一人しか生き残れないのよ?私を護る為って事は一馬も死んじゃうって事じゃない」 「そうだな、だが美織が無事なら別に構いやしねぇよ」 「構うわよ、だって私、一馬を殺したくなんかないもの……!!」 平然と言ってのける一馬に美織は切なげな表情と共に怒りをぶつけた。 .
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