もしもキミが……

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「バカか、お前は……お前の手は汚させない……俺が勝手に死ぬから安心しろ」 「なっ……に、ソレ!!だったら余計に納得いかないってのよ!!」 「……お前……だったらどうしろってんだ」 「わかんない……わかんないけど……一馬が死ぬのは絶対に嫌」 「美織……」 拳をぎゅっと握り、カタカタと奮える美織。 普段、見せない弱さを顕にした美織が、そこには居た。 「……悪かった」 そんな美織に謝りながらも一馬は美織を抱き締めた。 「だがな美織……もし俺様が、そんな状況下に置かれる時が来たとしたら……」 「したら……?」 「俺はお前を護ってお前の為に死ぬ。だが、美織を最後の一人にするまでは誰にも殺されねぇし死んだりなんかしねぇ」 「…………」 「……おい、聞いてるか?美織」 真剣な言葉に黙り込む美織に、一馬はその顔を覗き込む。 ――だが。 「……な…ぃ」 「美織?」 「馬っ鹿じゃないの!?この俺様何様一馬様!!垂れ目ナルシーのトボケ一馬がぁあっ!!」 「あぁ!?美織テメェ喧嘩、売ってんのか」 「ええ、売ってるわ!売ってるさ!!売ってやるわよ、このアホ一馬ッ!!」 「……いや、どっちだよ」 興奮しハチャメチャに言葉を並べ立てる美織に僅かに乗るも一瞬にして落ち着き呆れる一馬。 「んなの、どっちでもいいわよ」 「いや、良かねぇだろ」 「私が、いいって言ってんだから、いいの!!」 「……どっちが俺様だよ」 メチャクチャな言い分に顔を引きつらせる一馬に美織は言葉を続けた。 「何よ勝手な事ばっか言って……ッ!!なぁにが、俺はお前を護ってお前の為に死ぬ…よッ!そんなんじゃ夢見が悪いってのよ」 「おい美織、落ち着け。一体どういう意味だ」 「どういう意味もこういう意味もないわ、このキザ男!!私はね……っ、さっきアンタが言った言葉が、私が私の為に生きて私の為に死ねって言ってるようで嫌なのよ!!」 「美織……お前」 「許さない…」 「あ?」 「今度そんな事、言ったら絶対に許さないから…!」 「……言わねぇよ」 不用意な言葉でも言おうものなら反論しようとしていたものの美織の本心を知った今では、そんな事はもう、どうでもいいと黙りこむ一馬であった。 .
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