もしもキミが……

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「ねぇ、一馬」 「なんだ」 「好き……大好き」 「ああ、解ってる」 「本当に解ってる?」 抱きつきながら愛の言葉を紡ぐ美織の頭を撫でながら解っていると言う一馬に美織は言う。 世界中の誰よりも 世界中の何よりも 大好きで、大好きで 「――…愛してる」 「美織……?」 離したくない 離さないで 「一馬……私、ね?狂う位に貴方が好きで愛してる」 だからだろうか だからこそ――…。 「私は一馬に生きて欲しい」 「…………!!」 澄んだ真直ぐな瞳で見つめられ言葉を失う一馬。 「だから、もし……」 そう、もし。 「もし一馬が、さっき言ってたような事をして私を護り抜くような結末を望もうとしたら――…」 きっと、きっと 「私は、一馬を……私自身を一生、許せないから」 だから。 もし、そうなったら。 「私が一馬を止めるわ」 全力で 命を懸けてでも 「止めてみせるから」 そう言った美織の表情は、あまりに真剣そのもので一馬は深く引き込まれそうになる心を抑えるように沸き上がる衝動を堪え口を開く。 「だがな美織。もし……もしもだぞ、もうどうしようもなくなり手段も尽き狂った奴らが殺しにかかってきたらどうする」 そう言葉にしたのは、そういった時、美織を護れるのは自分しか居ないという一馬の揺るがぬ自信と言う表明があったからだ。 だが問われた美織はと言えば、それを気にする事なく淡々と言葉を口にする。 .
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