希望

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ちょうど一年前までは睡魔に襲われながら朝食を作っていたことも、今ではこの生活に体が慣れてしまった そんな時、調理の騒音で目が覚めたのか、珍しく夜明け前に帰ってきた夫はふらつきながら私の元に寄ってきた 夫は私に何も言わず、右手を差しのべた 「金ならテーブルの上にあるよ」 夫はニヤケた後にテーブルの上の封筒目指して歩いた 封筒を開けた後、夫は久しぶりに口を開いた 「…もうお前みたいな年になると、これくらいが精一杯だな」 夫はフンッと鼻で笑い、封筒をスーツのポケットに入れて、欠伸をしながらシャワールームに向かった
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