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「あなた、もう無理はしないで別に2人で頑張れば良いのだから」
「何を言っているんだ、このチャンスを俺は絶対にモノにするんだ、そうすればお前に楽させてやれるだろう」
耳が勝手に拾ってしまった言葉、出来れば聞かずに済めば良かった漏れてしまう溜息。
少しふらつきながらも店内へと戻って行く姿を見送っては複雑な心境で倉庫へ商品を取りに歩いてゆく。
そして最終日に再び事務所へと呼び出さた。
「1日早いけど如何したんだろうな?」
「そうですね、今日までですよね確か」
2人で連れ立って歩き事務所の中へと入って行く、其処には店長に経営者の社長の姿の他にまだ若く見える男の3人が俺達を待っていた。
「すまないね、忙しいのに呼び出してしまって。実は少し変更したい事があってだね君達2人を呼んだんだ」
「変更ですか?」
何を変更するのだろうかと2人で思わず首を傾げさせてしまう。
「このスーパーの次の店長の件なのだが……いずれは私の跡を継ぐ孫に任せる事にしたよ」
何だか物凄く簡単に口にされた言葉の意味が瞬時に理解出来ず呆然としてしまう。
「……おっ、お孫さんに…」
辛うじて口に出来た言葉はそんな短いモノで、ハッとして隣へ視線を遣れば、今にも魂が抜けて行きそうな様子で立ちつくす姿で、俺をライバル視して頑張ってきた姿を毎日見ていたからこそ、社長が簡単に口にした変更に怒りが込み上げてくる。
「…そっ、そうですか…分かりました」
無理に笑みを浮かべ言葉を口にする姿が痛々しく、如何にか怒りを内で納めてはゆっくりと自らを鎮めるべく深呼吸する。
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