はじり

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 店長とその補佐が確定した2人は仕事に戻りますと俺を置いて事務所を出て行ってしまった。  その姿を戸惑い露わに見送っていれば、 「城島くん、孫ッ…いや、この若い店長の補佐を頼むよ。君の働きは店長からも素晴らしいと聞かされているからね。慣れなくて不手際な所が多々あると思うが面倒を見てほしい。ほら、お前もちゃんと挨拶しなさい」  社長の言葉に視線を戻して、そうですかと聞いて居れば、次はその隣へ立つ孫からの挨拶に視線を向ける。 「初めまして、桐生啓輔です。来月からよろしくお願いしますね城島さん」 「あっ、いや…こちらこそ来月からよろしくお願いします。……城島源真です」  差し出される手を見ては握手を交わすように自分も手を差し出す。  そんな俺達の様子を良かった、一安心だと満足そうな笑みを浮かべ見守る社長へ視線を遣り、再び視線を戻せばニコニコと笑みを浮かべているお孫さんで新しい店長の浮かべる笑みが如何にも気になって仕方なかった。
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