第一話

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ある雨の日、ライオンはあの吊橋をゆらしながら歩いていた。今日は口に金色のコハクをくわえていた。 「まってろよ、今日の土産は色がお前によく似ているんだ」 そのコハクは、いつも無口な、ライオンの唯一の友達・・・─タンポポへの土産だった。 吊橋も半分位わたった。もうすぐタンポポのいるところだ。 その時─ ピシャッ!ズダーン!! 吊橋に雷が落ちた。吊橋は壊れ、崩れ落ちていく。 「う、うわぁ!」 その吊橋の崩落にライオンも巻き込まれてしまった。下の谷底までライオンは落ちていった─ 「うぅ・・・痛い・・・」 ライオンはひどい痛みに目を覚ました。そこは谷底だ。ライオンから見える空はさっきより遠く、狭かった。 「あいつを安心させなきゃ・・・」 タンポポは吊橋の近くに咲いている。吊橋が崩れ、ライオンが落ちているのも見えているはず・・・─タンポポに心配させたくなかった。 「お前を絶対泣かすものか・・・!」 ライオンは吠えた。力の限り何度も吠え続けた。 「この元気な声が聞こえるか?俺はこの通り全然平気だぞ!! ──悲しみに濡れた頬の冷たさなど、生涯お前は知らなくていいんだ」
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