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ある雨の日、ライオンはあの吊橋をゆらしながら歩いていた。今日は口に金色のコハクをくわえていた。
「まってろよ、今日の土産は色がお前によく似ているんだ」
そのコハクは、いつも無口な、ライオンの唯一の友達・・・─タンポポへの土産だった。
吊橋も半分位わたった。もうすぐタンポポのいるところだ。
その時─
ピシャッ!ズダーン!!
吊橋に雷が落ちた。吊橋は壊れ、崩れ落ちていく。
「う、うわぁ!」
その吊橋の崩落にライオンも巻き込まれてしまった。下の谷底までライオンは落ちていった─
「うぅ・・・痛い・・・」
ライオンはひどい痛みに目を覚ました。そこは谷底だ。ライオンから見える空はさっきより遠く、狭かった。
「あいつを安心させなきゃ・・・」
タンポポは吊橋の近くに咲いている。吊橋が崩れ、ライオンが落ちているのも見えているはず・・・─タンポポに心配させたくなかった。
「お前を絶対泣かすものか・・・!」
ライオンは吠えた。力の限り何度も吠え続けた。
「この元気な声が聞こえるか?俺はこの通り全然平気だぞ!!
──悲しみに濡れた頬の冷たさなど、生涯お前は知らなくていいんだ」
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