§ Prologue §

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     僕は空を見上げ、泣いていた。  人目もはばからず、ただ泣いていた。  15歳にもなって、こんなにボロボロと涙を流しているのは、今、世界中に自分だけのような気さえする。  もう二度と、瑠璃には……  その想いだけが僕の頬を雫となって濡らし、ますます子供過ぎる自分を呪った。  あの日も、こんな色だった。澄んだ青空が、視界の端の端まで広がっていた。  結局僕は、瑠璃に何もしてあげることが出来なかった。僕は何も、知らなかった。  あの日僕たちが出逢った理由も、君がそこにいた理由も。君と出逢ったのが、ただの偶然ではなかったことも。  瑠璃と過ごした日々の記憶が蘇っては、走馬灯のように過ぎていく。長いようで、短かった時間。 「それが君を愛した理由」  好きだった、涼しげな瞳が。  愛しかった、小さな手が。  もう一度だけでも抱き締めたかった、華奢な肩を。  青い空に、滲んで。  消えていく。  僕達を繋いでいた、青い糸。
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