MINT BLUE

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急にガラリとドアが開いた。 「ノックしたのに返事がないから入っちゃった!」 「瑠璃、さん」 僕は内心、返事がないなら普通入らないだろ、なんて思いながらその人を見た。 「恐い顔しちゃって。どうしたの?」 瑠璃が悪ガキみたいに笑いながら、つんつんと自分の眉間をつついた。 「えっ? ああ。今、母が見舞いに……」 「この漫画、超面白いよね」 僕は無意識に、眉間に皺を作っていたらしい。 言いかけて、僕がどうぞ、と言う前に瑠璃が椅子に腰掛けていた。 瑠璃はちっとも聞いていなかった。 「今日はどうしたんですか?」 僕は、ペラペラとページをめくる手の動きを目で追いながら聞いた。 小さくて華奢な手は、カメラを手にしている時よりも子供に見える。 「なによ。用がなきゃ来ちゃいけないワケ?」 「――!!」 急にずいと瑠璃が身を乗り出して、僕はどきりとした。
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