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到底叶いそうも無い夢を早々と追い掛けるより、学生という肩書きに甘んじて、ただ遊び呆けるのも今ならまだ良いと思う。
それなのにどうして瑠璃はバイト三昧の、苦しいだけの生活に身を投じているのだろう?
十四才にして、人生に絶望すら感じている僕には、ますます分からなかった。
「うーん、どうして? どうしてと聞かれれば困るんだけど」
伏せた目は、一体、何を見ていたのだろう。
真っ直ぐに伸びた背。
透明に澄んだ瞳と、溢れるようなエネルギーのオーラ。
そんな瑠璃を見て、僕はきっと迷うこともなく今まで歩んできたのだろう、と思っていた。
「写真は嘘つかないんだよ」
静かな声は、ストンと落ちるように、身体に入ってくる。
「幸せな記憶も、楽しい記憶も……忘れたい記憶も、全て残すの」
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