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今日も、空が青い。
全身に降り注ぐ陽射しが、あまりにも僕に似合わなくて笑ってしまう。古びた病院の屋上から見渡す町は、いつもと変わらずたくさんの希望に満ちていた。
世界中にばら撒かれたであろう、太陽の欠片たち。
ここはまるで天空の城。雲の上に築かれた、コンクリートの要塞。
ここに今、僕を傷付けるものはない。この濁った瞳にも、無条件に光は差し込み、僕を更に憂鬱にさせた。
ぼやけた頭と、ぼやけた視界。
見下げた先に、花開くように放射状に広がった真紅。薄い雲が四月の空にベールを広げ、汚れのない青を引き立てる。
毒々しいまでの見事な赤は、飛び降りることを躊躇うには十分だった。
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