Sky Blue

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     屋上の鍵が開いているとき、いつもは医師や看護師が居た。それなのに、今日はその姿が見当たらない。  おまけにもうすぐ昼だからか、珍しくここには僕だけしか居なかった。  お陰でフェンスの外側に立つこの姿を誰に気付かれることもなく、僕は「閉め忘れたのか?」なんて思いながらもうかれこれ10分はこうしていた。  ──馬鹿馬鹿しい。  ふと、乾いた笑みが漏れた瞬間、視界にきらりと光るものが映る。  ああ、きっと僕は死ねない。  瞳に飛び込む光のプリズムに驚いて、その清々しさにはっとしているようでは駄目なのだと思った。眉毛に乗った汗が煌めいて、そう思った。
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