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あれは……5歳の頃だったか……
顔も忘れたし名前も忘れた白と黒を纏った若い騎士。
けどその事を父さんに話したけど信じてくれなかった。
父さんはただ『そんな奇妙な格好をした騎士は存在しないよ。けどお前達が無事でよかった』そう言っていたのを覚えている。
けど俺達はあの後ろ姿を覚えている。
まるで示し合わせたかのように手には白銀と漆黒の奇妙な形の剣を持ち、決して盗賊を殺さなかった騎士の姿を---
トーマ
「なぁ、ジーク? お前はあの騎士の姿を覚えているか?」
ジーク
「………あの騎士? ああ、あの俺達を救ってくれた人か、覚えているよ」
トーマ
「名前とかあの人の言った言葉で覚えていることあるか」
俺は忘れてしまった。
記憶力なんてそこまで優れていない。
けれど幼いながらにあの後ろ姿だけは忘れてはならないと心に刻んでいた。
ジーク
「………覚えているさ。荒夜 銀月さん(こうや ぎんげつ)。 あの人は確か別れ際に『自分が助ける力があり、助けを求める人がいるなら助けてあげな。力が足りなかったら背伸びしてでも助ける力を作りだそう』って笑いながら言っていた」
トーマ
「そうだったっけ? 俺はあの後ろ姿しか覚えてないや」
ジーク
「………はぁ、けど後から調べたけどホントに銀月って騎士は存在しないしあんな格好した騎士もいなかった」
トーマ
「へー、まああの人が俺達を救ってくれた事に変わりない、俺は将来あんな風になれないだろうけど出来る努力はしてみようかな?」
ジーク
「………いいんじゃない? けど今は長距離を移動してきたんだから明日に備えて寝ようよ」
そういやもう夜だ。
俺達の町から結構離れているしな。
寮自体もでかいから移動に時間掛かったからその影響もあるだろ。
トーマ
「そんじゃ明日起こしてくれよ?」
ジーク
「………いい加減きちんと起きれるようになれよ」
トーマ
「それじゃよろしくニャー」
ジーク
「………ニャー………」
こうして眠りについた。
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