あの日の流れ星で僕らは始まった。

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「お疲れ様でしたー!」   元気よくバイト先から飛び出す俺。 アイツを待たせちゃ悪い、早く会いたい。   見慣れた土手へ走って向かう。   何のため? 星を見に。 誰と? アイツと。   「お待たせ、ハァ、待った?」   息を切らせて言う俺に優しくアイツは…   「全然、私もいま来たから」 ホラね、やっぱり。   「そっか、ありがとな」   いつもの定位置に腰を下ろす。   近すぎず遠すぎない微妙な距離、僕らの関係。   こんな夜の天体観測が始まったのは3ヶ月前ほど。 たまたま通ったこの土手で流れ星を見て、 「「あっ…」」 と呟いたことから始まった。   以来3ヶ月、何故かちょくちょく深夜のここでよく会うようになり、 ほぼ毎日、名前も知らないアイツと天体観測をしている。   ~・~・~・~ 「遅いな…」   寒空の下アイツを待つ。 「ァ、ハァ…ハァ、お待たせ、待った?」   いつものパターン。   いつもの返事を返す私。   いつもの位置、いつもの沈黙、そして…   「なぁ」   ホラきた。 「ん?」   「今日は見れるかな?流れ星。」   「見れるといいね。お願い、叶えようね。」  と返事をする。   お互いの願いは不可侵、暗黙のルール。   ~・~・~・~ ((アイツの隣は居心地がいいな。)) 其所へ空に一閃、流れ星が走る。 二人は叫んだ、   「「アイツの隣でずっと一緒に星を見れますように!」」   なんとなく分かってた。 流れる沈黙、しかしどちらとも言わず吹き出す。   ホラね。やっぱり。 って。
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