小隊長殿!歓迎いたします

2/7
前へ
/1477ページ
次へ
帝国と共和国との戦いは 十年に及んでいた。 今や膠着気味の戦線は、 かつての都市の廃虚を挟み 互いの射程ギリギリで 小規模な戦闘を 繰り返していた。 エリクソン・ マクスウェル少尉は、 そんな最前線へ 配属された 新任士官の一人だった。 緑色の軍服は、 士官・兵士みな一緒 肩の黄色いラインと 胸元の階級章だけが 彼を士官だと 語っている。 もっとも補給物資に 隠れる様に埋もれて だらしなく口を開き 眠っている様は 兵士にすら見えなかったが。 ガタガタと激しく揺れる トラックの荷台は、 決して寝心地の良いベッドには ならないはずだが お構い無しに 眠りこけている。 配属予定の前線基地 マトン・ラードまであと30分。 小隊長は、まだ眠っている…。
/1477ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7614人が本棚に入れています
本棚に追加