一時の安らぎ

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「萌葱…   これは何と読むのだ?」       珍しく瑠璃が重衡に話しかけて来た。   瑠璃にも知らない字があるのだ…と書物を覗く。       「それは“こうやく”と読む…   陣立てか…   八陣の一つだな…   魚鱗・鶴翼・長蛇・偃月・鋒矢・方円・雁行… そして衡軛(コウヤク)…   あれは難しい… 苦労して覚えた…」       「萌葱も兵法を読んだのか?」       「面白くもない書物だ…   戦う為の本など…」       「私は毎日読んでおるぞ…」       「そうであったな…   あははは…」       瑠璃も“クスリ”…と笑って本を置いた。      
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