闇に覆われる刻

2/5
前へ
/380ページ
次へ
本を置いて、石から飛び降りた瑠璃は、少し寂しそうに笑っていた。       それは二人が出会ってから数年の月日が流れていたある日だった。       「私は鞍馬を出ます。   僧になるなど…   全て嘘です。   ここに居て、毎日経を唱えて高僧になって…   何の意味があるだろう…」       「瑠璃…」       「私の本当の名は“遮那王”…   ここを出て、父上や一門の仇を取りたい!」       “遮那王”     重衡はその名をどこかで聞いた記憶があるが…   どこで聞いたのか…   それが誰だったのか…     どうしても思い出せなかった。    
/380ページ

最初のコメントを投稿しよう!

300人が本棚に入れています
本棚に追加