狂い始めた歯車

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「鞍馬になど決して行ってはなりません!」         重衡は母・時子から大目玉を食らっていた。     誰かが告げ口したに違いない。     毎日馬でどこかに出掛ければ、怪しまれぬ訳がない…         「私がどこに行こうと私の勝手だ!」     「重衡殿! 母に向かって何ですか!」     「好いたおなごにでも会うているのではないか?」     「宗盛殿! 重衡殿はまだ13ですよ!」           重衡は大層機嫌を損ねて部屋を出ていった。       廊下に出て何を思ったのか 振り向きざまに       「私が何をしようと母上には関係ない!」       …と、持っていた扇子を投げつけて走り去って行った。    
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