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そこに立っていたのは、十人に聞けば八人は可愛いと言うであろう美少女だった。
ウェーブのかかったミディアムヘアは、毛先が元気に跳ねている。猫のように真ん丸な瞳と、アヒル口が特徴の小柄な女の子。
もったいないが、俺の彼女だ。
「おはよ。今日も元気だね、“ともあき”君」
そう言うヒデの瞳は、だてメガネの下からからかいモードに変わった。
「もぉ、やめてよね! “ちあき”よ“ちあき”!」
表情豊かな智明は、さっきまでの笑顔をぎゅっと押し潰してヒデを叩く。
ぱっと見、男の名前と勘違いされやすい漢字を彼女は気にしているのだ。
「いてて、ごめんごめん! お詫びにいいこと教えてあげるよ、智明ちゃん」
ヒデは智明に何度もはたかれ、ボサボサになった茶髪を直しながらニヤリと笑う。
それまで二人のやりとりを微笑ましく見ていた俺は、途端に嫌な予感がした。
「今日、こいつ合コン行くんだぜ。俺は止めたんだけどさぁ~」
待て待て待て待て!!
智明の前でなんて事言い出すんだこいつは! 明らかに楽しそうだし!
浮気しに行きますと言っているような、この発言。智明が良く思うはずがない。
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