5536人が本棚に入れています
本棚に追加
「グス…ヒック…」
どうしよう…涙がとまらない…
世恭さんがいるのに…!!
「ごめ…なさ…すぐ…とめます…!」
下を向いて目をごしごしこする…けど、涙はとまらない。
嗚咽じみたものまでせりあがった時、
ギュッ…
僕は長く優しい手に、包まれた。
「え…?世恭さん…!?」
突然の事にびっくりして、涙なんかもうとまった。
変わりに胸がドキドキして恥かしい。
「大丈夫だ…君は俺が守る…泣かなくていいよ」
頭や背中を優しく撫でられる。
僕を落ち着かせてくれようとしている事が、嬉しかった。
「そこさぁ、『俺達』の、間違いじゃね?」
そんな言葉と共に、壊れたドアを踏んで人が入ってきた。
「いたのか…」
世恭さんが嫌そうな顔をする。
ぽんぽんと最後に頭に手を置いて、世恭さんは僕から離れた。
最初のコメントを投稿しよう!