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学校の前で泣いて、『何もない』だと?
怒りが込み上げる。
正直、何の怒りか自分にも分からない。
輝羽が嘘をついていることにか、
輝羽を泣かした奴にかー…
華奢な体をより強く抱き締める。
「俺の前では嘘をつかなくていい」
ぴくり
と、輝羽の体が微かに反応する。
少し力を弱め、距離を離す。
「頼ってくれてかまわないから。」
まだ絶え間なく流れている涙を拭う。
「むしろ頼れ」
強めに言うと、少しびっくりしたように輝羽の目は丸くなかったが、すぐに
「はい!!」
と笑顔で元気よく返事を返した。
ー…その時の笑顔は、世の異性同性をとりこにする力を持っていたが、おそらく本人は自覚がないだろう。
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