君は誰…?

3/14
前へ
/88ページ
次へ
僕は勉強を教えあったり、一緒に遊ぶ友達はいるけど、腹を割って話す『親友』はいなかった。 当然、『兄に毎晩犯されている』なんて誰も話した事はない。だから誰も知らない。 別に僕はそれでいいし、今後も誰かに話す気はない。 学校の昼休み、僕はなんとなく窓に広がる、学校にしてはそこそこデカい中庭を見ていた。 「ねぇ…そこのさ、ベンチに座って本読んでるの誰なの…?ー…たくさんの人に囲まれてる。」 僕が友達に聞いた人は、最近僕がよく目にとめる人だった。 入学当時は全然気にしてなかったけれど、二学期になった今、彼がたくさんの人に囲まれているのが目につく。 囲まれてるといってもその人が誰かと遊んでいる訳でもなく、話す訳でもなく、彼は輪の中でただ静かに本を読んでいるだけだ。 「おまっ…そんな事も知らねぇでこの高校の一年やってんのかよ!!」 えぇっ!?なんかめちゃくちゃ驚かれた!!! 「う…ん…そんなに有名な人なの?」 友達はおうよ!!と目を輝かせていった。 「あの方はだなぁ、入学当時からあの女にも引けをとらない美しさとクールさで話題になり、様々な行事、代表事の中心的存在となり、入学して二学期ですでに同級生、先輩、教師に一目おかれているんだぜ!!」 あまりにも力説する友達はかなり興奮していた。 「へ、へぇ…よくしってるね」 バッキャロー!!…と今度は怒られた。 「このぐらい知らねぇ方がおかしいんだよ!!」
/88ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5536人が本棚に入れています
本棚に追加