第一章【一冊の本】

4/5
前へ
/78ページ
次へ
その"モノ"の中での人間はもはや人間ではなかった。いや‥れっきとした人間なのだが、克巳にはそう思えなかった。 首輪をはめられて犬のように四つん這いになっている裸の女。鞭のような物でひっぱたかれ、土下座しているような恰好をしている女。男のペニスを強引にくわえさせられ、凄まじい形相で耐えている女。 そこに出てくる女の顔は、皆苦しみに耐え、怯えているようだった。 克巳は静かにページをめくり続ける。恐怖は全くなかった。しかし恐怖とは違う別の何かを感じていたのだ。"それ"は克巳を奮い起こすような不思議な力だった。
/78ページ

最初のコメントを投稿しよう!

119人が本棚に入れています
本棚に追加