第一章【一冊の本】

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【ガサッ】 不意の物音に克巳はとっさに本を隠し、後ろを振り返る。しかし彼の後ろには、いつもの静けさが広がっているだけだった。それは不気味な静けさだったが、克巳は不思議と温かい何かに包まれたような気がした。 しばらくして克巳はゆっくり家の方へと歩きだす。片手に【モノ】を持ちながら‥。 眩しいくらいの夕焼けが克巳を照らしていた。克巳の心に生じた【何か】は今まさに、彼の現実に牙を向こうとしていた。
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