始まり

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『受験生』 そんな重たい荷物を背負って始まった、中学最後の1年。 「もう3年か…」 そう思い出すのには、大して時間はかからなかった。両親や先生には受験生だとよく言われ、修学旅行もあったから。 だけど、まだ『卒業生』という実感は、みじんもなかった。 ただ、確実に時間が終ろうとしているのは感じた。本当に、それだけだった。 昨年は異常気象により暖かい日が続いた。春を心地よく感じた記憶は、まだ新しい。 私が中学に登校する時に通る母校の小学校の校庭には、小さな桜並木があり、春になると桜が風に舞って、その下を自転車ですーっと通り過ぎるのは、とてもすがすがしいもので、私は大好きだった。 だが、昨年の春は、それがあまりなく、少しさみしい気持ちになったものだ。 毎朝、校庭で遊ぶ小学生の姿を見ながら、小学校の思い出を振り返り、もうあれから3年か…としみじみしたり…。 思いの外感傷的になりながら、中学に登校していた。 先ほど少し触れたが、私は中学までが遠いので、自転車通学であった。これもなかなかの思い出がある。雨や雪の日は、たまったものではなかった。まぁ、これは高校でも変わらないが。
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