序章 東京大震災

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「悠ちゃーん!遊ぶぞ!」 ドンドンと激しくノックする僕。悠ちゃんは2階から顔を出した。 「ちょっと待ってよ!駆君…まだ着替えてないよ。」 「早く着替えろよ!」 僕はせかせかと走るポーズをとった。あの子の名前は山口 悠 僕の幼なじみで、弱気な男。 悠の父ちゃんは単身赴任中で、今は北海道にいる。帰ってきたら蟹をごちそうになる予定だ。 蟹をイメージしている僕に、優しい女の人の声がした。 「あら、駆くん。こんにちは。」 「こんにちは!おばさん。」 悠の母ちゃんだった。 悠の母ちゃんは窓を開けて笑いながら挨拶してくれた。 「そんなに急いでどこに行くの?」 「へっへー、秘密基地だよ。だから秘密なんだ。」 「あら残念。」 「ごめん駆君!」 おばさんと会話していると悠がやって来た。 「じゃあ、ママ。行って来るね!」 「行ってらっしゃい。今日は早めに帰るのよ。」 靴を履き、僕のそばまで行くと元気良く悠はうなずいた。 「「行ってきます!」」 「行ってらっしゃい。」 おばさんは手を振り、見送ってくれた。僕らはバタバタと、外を駆けていった。
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