序章 東京大震災

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意味がわからない! 意味がわからない!! 何が何だ!? 何で前がぶれて… 視界が揺れて何で!? 「うわぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!?」 僕は叫んでいた。 街の人も叫んでいたに違いない。 だけど僕は自分のことで精一杯で… 震えながらうずくまっていた。 ――――― ――― ― 地震が収まった時には、 空は夕暮れ時で薄暗く、僕は泣きながら、そしてまだ震えながら、ぼんやりしていた。 後ろを見ると、少し地割れみたいなのが起きていて、街の方を見ると、火が見える家。傾いてる電信柱。 今まで住んでいた街と全然違っていた。 ………住んでいた街? 僕は急いで走りだした。 「母ちゃん…ハァハァ…父ちゃん…痛っ…悠!!」 靴を片方無くして、顔も片方の足も傷だらけ。服、肌は土で汚れて、きっとその時の僕は乞食みたいな格好だったろう。服は破れて、涙流して。 それでも、僕は走った。 嫌な予感しかしなかった。 潰れてる家、火事、消防車、レスキュー隊。 泣き叫ぶ子供、その子供を抱く母親、父親。 そんな景色が目に入ってくる。 僕は心の底から恐くなった。住んでいるマンションと、悠の家に近づくと… 僕は叫んだ。
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