2791人が本棚に入れています
本棚に追加
マンションの形はしていたのだ。
だが、5歳の知識は浅はかだった。
マンションは下の階から潰れていくのだ。
「え……」
僕は言葉を漏らした。
マンションの1階から3階まで、ペシャンコに潰れていた。
僕の住んでいる部屋は……………3階
「母ちゃん?父ちゃん?」
気付いたら僕はマンションに走って近づいた。
「危ない! 坊や!離れるんだ!!!」
僕の体を誰かが止めた。
多分、レスキュー隊員か消防士だろう。
「母ちゃん…僕、今帰って来たよ!…遅れてごめんよ!何時間でも正座するから。」
僕は止められた体を必死に前へ、前へと進めたが、大人の力には敵わなかった。
勝手に涙が大量に溢れでた。
「父ちゃん…今日ね、悠の父ちゃんが蟹持って帰ってきたんだ!!母ちゃんに内緒で食べに行こうよ!」
それでも、前に、僕は体を足を進めた。次第に僕は叫んでいた。
「ねぇ、返事してよ!!
いるんだろ!!お腹すいたよ!!一人にしないでよ!」
すると、潰れた階から勢いよく炎がふきでた。
僕は汚れた顔をオレンジ色の炎の色に染めて、泣き叫んだ。
最初のコメントを投稿しよう!