第四章~開戦~

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「………終わりだ。」 『何だと?』 携帯から耳を離し、ポケットにしまいながら、天野が唐突に告げた。 ベッドに腰を下ろし、今まで通話が終わるのを待っていた燈狐が眉をひそめる。 『なにが終わりなんだ?』 「依頼だ。クライアントが十分だと判断した。後一カ所で引き上げるぞ。」 『例の場所か?』 「ああ。お誂え向きに、ちょうど休校になったからな。手を出すなら今だろ。」 面白くなさそうに、燈狐は鼻をならす。 『ふん。この寝具はなかなか気に入っていたのだが……今日までか。名残惜しいな。』 軋むこともなく、弾む彼女をベッドは受け止める。 泊まっていたホテルの、ここは拠点にした一室だ。 『結局、今回も外れだったのだろう?』 「まだそうと決まったわけじゃない。」 『………式神まで呼び出して気合いを入れたからな。……諦めはつかないか。』 くつくつと笑う。 嫌悪を抱きそうな嫌な笑い方だったが、天野は鼻にもかけなかった。 『焔呪と言ったか。字は違えど同じ名を鬼神にもくれてやったな。見つからなかったらあの鬼神を代わりに殺すのか?』 「……悪くない考えだ。」 『迷惑な話だ。都合で生み出しておいて…あの式神にしてみれば不幸の極みだろうよ。』 なにが楽しいのか、燈狐はいつまでも笑い続けた。
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