第一章・出会いと始まり

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 時は現代。妖精や精霊は夢物語とされ、存在を完全に否定された世界になっていた。  そんな世界に小笠原将(おがさわらしょう)と小笠原みなみという仲の良い兄妹が住んでいた。将とみなみは幼い時に両親を亡くし、形見として将が大きなサファイアのついた指輪を、みなみが大きなルビーのついた指輪を持っていた。二人は指輪を肌身離さず持っていたのだが、いつの頃からか他のどんな宝石の輝きに似ても似つかない不思議な輝きが見えるようになっていた。 「ねぇ兄貴、どうしてみんなにこの輝きが分からないんだろう…私がサファイアの輝きを見ることが出来ないのと何か関係してるのかなぁ~」 「さぁな?でも、俺達とは少し違うだろ?俺だってルビーの輝きが見えないけど、俺達の場合はどちらかが見えるだろ?」  そう、その輝きは他の人はおろか、自分達にもどちらかの輝きしか見えていないのである。街の人は『特別だ』とか『形見だから』などと言われてばかり。 「こんなに違いがハッキリとしてるのに、どうしてみんなには分からないの!?」
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