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「そんなに熱くなるなって…俺達の言ってることが間違ってるかもしれないんだぞ?街の人達が言うように、これは父さんと母さんの形見だから…」
「違う!兄貴までそんなこと言うの!?絶対に私達の言ってることが正しい!だって、私だけじゃない…兄貴だって見えてるじゃない!!」
将の言いかけていた言葉はみなみの荒げた声に掻き消されてしまった。
将もみなみも明るい子なのだが、みなみは熱くなるとどうにも収まりがつかず、何にでも首を突っ込んでしまう性格だった。それ故、将が色々なことに巻き込まれてしまうのは言うまでもない。
「確かに、兄貴や街の人達が言っていることが正しいのかもしれない。でもね、形見じゃなくたってこれは特別な石…そう、思っただけ…」
みなみの顔が一気に暗くなっていく。
『…それは、あいつらが選ばれた者ではないからだ…』
「えっ…?」
「ん?」
「兄貴、今なんか言った?」
「…何も言ってないけど…?」
「…今、男の人の声が…」
「はぁ?」
将は首を傾げるばかり。どうやら、将には何も聞こえなかったらしい。
「うーん、やっぱ良いや。どうせ聞き間違いだろうし…」
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