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【笠井宅】
ここにくるのは初めてだな…。
ピーンポーーン…。
俺はチャイムを鳴らす。
するとすぐにドアが開いた。
「どちら様ですか?」
笠井の母親が出てきた。
「お届け物です…。」
俺は笠井の遺書を差し出した。
母親はそれを受け取ろうと遺書に手を触れたとき、思い出したように言った。
「あの…。もしかして匠のクラスメイトだった人じゃ…?」
「違います。」
俺はきっぱりそう言うと、遺書から手を離し、ここから離れた。
少しすると母親のすすり泣く声が聞こえてきた。
俺はそれが辛くなり走って車まで向かった。
「もういいのですか?」
タバコを吸いながら一服していた福村が聞いてきた。
「あぁ…。」
俺はそう言ってすぐに車の中に入った。
あの声が聞こえてこないように…。
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