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「っりょーちん、どーしよ…俺っ!!」
始業式も無事終了。
後のイベントは入学式だけ。
初めてできる後輩に
カッコイイ所見せにゃいかん!
そう、昨日は意気込んだはず…なのに。
なのに!!!
「なぁんで寝坊なんかすんだ俺ー!!!」
『お前がバカだからじゃねーの?』
「うぅ、ごもっとも…
で、でもさ起こしてくんなかった母ちゃんもわ『はいはい、愚痴ってねーでさっさと支度しろ。つかもう入学式始まるんだからケータイ掛けてくんなよなー?んじゃ、切るぞ?』ちょっ、待っ」
ブッ、ツーツーツー…
(あああ、もう!!)
バコンッ
逆切れ任せにケータイを閉じ、ついでに時間を確認する。
学校まで歩いて30分。
走れば―7分で着く、か?
微妙なラインだ。
とにかく俺は急いで制服を着込むと、こそこそと忍び足で玄関へ向かう。
途中、何とも美味そうな朝食の香りが何も食していない俺の胃袋を刺激したが、涙を飲んで我慢した。
遅刻しそうな今、ここであの人に捕まるわけにはいかないのだ。
(…よし、そーっと、そーっと…)
何とか玄関まで辿り着いた俺は、いかに音をたてずドアを開ける事に集中していたからだろうか…
背後から忍び寄るその影に、全く気が付かなかったのだった。
「ゆーうーちゃんっ!」
「うわぁっ!?かっ母ちゃん!?」
突然耳元でシャウトされた自分の名前に慌てて振り向くと、そこにはおたま片手にフリフリエプロンを身につけた、正真正銘自分の母親がいた。
…いや、童顔だからまだマシだけどさ。
思わずため息をつきそうになった時、母ちゃんは思い出したかのように「あ、そうだ。」と呟いた。
「朝ご飯食べて行かないの?」
「あー…うん。実は今遅刻しそ「あらあらゆーちゃん。ボタン一個ずつずれてるわよ~」ちょ、話し聞いてる?」
もそもそと俺の制服のボタンを直し始めた母ちゃんに危機感が募る。
(母ちゃんに付き合ってたら確実に、絶対に入学式に間に合わない!!!)
「か、母ちゃん…や、大丈夫だから。自分で後で直すから」
「何言ってるの~もう、いつまでも慌てんぼさんなんだから~」
「いや母ちゃんが何言ってるのだよ!?それに俺急いで「それにしても…ゆーちゃん少しおっきくなった?お母さん嬉しいわ~!将来はお父さんみたいにカッコイイ男の人になってね~」お願いだから人の話聞いてー!!!」
嗚呼…
俺は無事、入学式に間に合うのでしょうか…?
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