愛の完結する場所へ

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「パパ!!パパ!!」 機械の狂乱は止まらない。 バチバチと露骨に火花が飛んでいる。 もうこの部屋は危ない! 「逃げようよパパ!! 危ないよ!!」 パパは何も言わない。 目だけが脱出ポットみたいな機械を見つめてる。 「パパいい加減にしてよ!! 目を覚まして!!」 ママの幻影を追いかけ、 その幻影を本物にしようとした科学者は、 自分の実験結果を見届けようとしてる。 「パパ!!パパ!!」 一番大きな機械が、 強烈な爆発音を出して垂直に跳んだ。 ドン!と床に落ち倒れ、 ガガガガと振動して発火した。 「パパ!!お願い!!」 機械達の悲鳴が絶頂を迎えようとしてる。 「だめ!!もう逃げなきゃ!!」 この部屋が、 いやこの屋敷が危ない! 「お願い逃げて!!私と逃げて!!」 その時、 パパはふらふらと立ち上がる。 「パパ…?」 パパはその目をあらんかぎり見開き、 「来る…」と呟いた。 その横顔。 あぁ…。 この人は正常な精神の持ち主じゃない…。 この人はきっと、 最初から狂っていたんだ…。 ママが死んだあの日から…。
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