「忘れられない」という呪い

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母がいつか言っていた言葉。 「あなたより子供だからよ」 その意味がやっとわかった。 「だ、だから理奈。 そんなに笑うな…」 ホントに恥ずかしそう。 「いいじゃないおかしいんだから」 もっとからかいたくなる。 「それに私には笑っていい権利があるわよ」 「う…うん」 父はまたしょぼんとする。 ホントに子供みたい。 「早く食べて。 私は片付けて学校に行かないと」 「あ…あぁ」 まごまごと食べ始める父。 その日から、 私の日常に二つの変化が見られるようになった。 父が優しくなった。 私に対する罪悪感からなんだろうけど、 会話が少しづつ多くなってきた。 うちの中が久しぶりに明るくなりつつある。 そしてもう一つの変化。 街に変な噂が流れるようになった。 最初は友達の浩美から聞いた。 「知ってる理奈? 例の噂!」 「何?その噂って?」 「全然知らないの!? 結構有名よ?」 「もしかして都市伝説系? やめてよ私そーゆーのダメだからね!」 「でもホントに見たって人がいるんだから! 祐介くんも見たって!」
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