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ある休日。
土浦は一人予定も無く、公園通りをぶらぶらと歩いていた。
すると・・・
「ドンッ」
と肩がぶつかり、土浦が
「あ。すいません。」
と相手の顔を見て謝ると
「!?月森!!」
相手は同じ学校の音楽科、月森だった。
「・・・あぁ、君か。すまない。」
何時もの反感を買う様な言い方ではなく、何処か覇気が無かった。
「?何処か具合悪いのか?」
心配になった土浦はそう、声をかける。
(・・・月森の顔色も良くない。余り人混みは好きではないと言ってた、な。)
土浦がそう考えていると
「大丈夫だ。少し人混みに酔っただけだ。・・・離してくれ」
月森が反発する。
(全然大丈夫そうに見えないな)
土浦は強引に月森の腕を引っ張り人混みから遠ざけた。
「・・・いい加減に離してくれないか?」
嫌そうに言う月森。
「はぁ?顔色が悪いのにほっとけるか!!」
有無を言わず引っ張り続ける土浦。
(この辺でいいだろう)
ぱっと月森の腕を離す。
月森は掴まれた腕を擦り、土浦を睨む。
「余計な事をしないでくれ。」
そう言い、土浦に対し背中を向く。
(・・・そんな事を言いたい訳じゃない・・・ただ・・・『心配させてすまない。俺は大丈夫だから』と言いたいだけなのに・・・)
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