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【いらっしゃいませ】
低いがカツゼツの良い、
世間的に言う
【イイ声】
が、店に静かに響く。
冷たさの感じられる目、白い肌、真っ黒な髪、クールな印象を与える男が店の奥から現れる。
【カウンター席とテーブル席、どちらがよろしいですか?】
そう言うと、クールな印象を解くかのように、彼は優しく、唇をキュッと閉じて笑う。
【あ、じゃあカウンターで…】
客であるカップルの、彼女の方が答えた。
【では、こちらへどうぞ】
そう言うと彼は、次はまた、先ほどと違い、目を細め、歯を見せ、無邪気な笑顔でニッコリと笑う。
そう、カップルの彼女の方に何気なく向きながら…
カップルの彼女の方は少し照れて俯く。
彼氏、面目なし。
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