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【おはようございます】
一人の可愛い女の子がカウンターに入ってきた。
〔あぁ…もうこんな時間か…〕
カクテルを作りながら智哉は彼女をちらっっ見て、また目線をカクテルグラスに移す。
【あの女の子の客、智哉の知り合い?】
彼女がカウンターにある伝票を見ながら智哉に話かける。
【違う】
智哉が無愛想に答える。
彼女の名前は
橋本沙織。
智哉の一つ下の25歳。
いまどき風で、大きな目が印象的な、美人系ではなく、可愛い系の彼女は、智哉の今の本命の彼女。
そう、智哉の悩みの種だった。
智哉との出会いは小学生の時。
その後アメリカから帰った智哉と偶然再会し、付き合いだした。
人一倍嫉妬心が強く、智哉が自分の全てである彼女は、智哉を監視する為に、智哉の店でバイトをしていた。
付き合い出して一年半。
付き合い始めの頃は、嫉妬心が強い事も知らず、
【少しでも智哉の側にいたいな】
と、可愛い事を言う彼女に、週に三日だけ、アルバイトとして雇ったのが失敗だった。
彼女は、接客で、智哉が客の女の子と、楽しそうに話をするだけで、機嫌が悪くなる。
最初の内は可愛いもんだと思っていた智哉も、執拗な程の嫉妬に、疲れはじめていた。
しかし、彼女の嫉妬が日に日に酷くなったのも、智哉が原因でもあった。
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