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日は すっかり落ち、辺りは暗い静寂の世界に包まれた。
「はぁ~、終わったぁ~。」
リアナは独り、自室で読書をしていた。
「何にもない時は、やっぱり読書に限るわ~。」
リアナは伸びをし、欠伸(アクビ)をする。
懐中時計を見ると、針は夜の10時近くを示していた。
「まだ10時か…。寝る時間まで まだあるし、もう一冊 借りてこようかな。」
リアナは腰掛けていたベッドから立ち上がり、部屋から出ていった。
廊下の灯りは消えており、不気味さを漂わせていた。
「うわ~、幽霊 出そう…。」
リアナは蝋燭を片手に、暗い廊下を歩き、書斎へと向かった。
「えーと、確か この本は…。」
リアナは借りていた本を元の場所に戻すと、次に借りる本を探す。
「“エスペルツの歴史”…、“アーサー王伝説”…か…。んー、どうしようかなー。」
蝋燭の灯りを隣の本棚に移した時だった。
「何をしてる。」
突然ルバンツェの姿が現れた。
「うおっ、わ、わわ!! ル、ルバン!!」
「リアナか。こんな夜遅くに、何をしてるんだ?」
「借りてた本の返却ついでに、新しい本を借りようと思って。ルバンは?」
「俺は寝付きが悪いから、散歩で来ただけだ。」
― 室内で散歩かい…。
「吸血鬼なら、この時間は起きてるんじゃないの?」
「いつもならな。明日は仕事で、北方の街に行くから早めに寝たんだがな。」
「羊の数でも数えれば?」
「そんな子供染みた事で眠れるか。それに…。」
「それに?」
「…お前、忘れてないか?」
「忘れてって、何を?」
「やっぱり忘れてる…。今日は何の日か、知ってるか?」
「何の日って…。ま、まさか…。」
リアナは窓の外に目を向ける。
黒い空にポッカリと穴が空いた様に浮かぶ月。
それは、三日月でも半月でもない。
まごうことなき、満月。
「…あ、あれれぇー…?」
「俺が言いたい事、分かるよな?」
ルバンツェが妖しい笑みを浮かべた。
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