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通り行く人々を、リアナはボンヤリと見ていた。
他の奴隷達も、生きる希望を失ったかのように顔を俯かせている。
「おい、5番!! ぼんやりするな!!」
武将髭を生やした小太りの男は、リアナの背中を鞭で叩いた。
「っ…!!」
「ったく、これだから困るんだ。お前らがもっと生き生きした顔さえしてれば、いい主人に会えるというのに!!」
― 嘘だ。本当は金が欲しいだけのクセに…。
リアナが男を睨み付けた。
「なんだ、その目は!!」
男がリアナの胸倉を掴み、荒々しく地面に叩き付けた。
「うっ…!!」
「主人に歯向かうのか、お前は!!」
男は何度もリアナの身体を鞭で叩く。
全身を叩き付ける痛みは、身体だけでなく、心にまで伝わってくる。
― 誰か、助けて…!
薄れ行く視界に、行き交う人々の姿が映る。
だが、誰も見向きはしない。
他の奴隷達も助けようとする素振りすら見せない。
― このまま、死んだ方がいいのかな…。
目の前が真っ暗になり、リアナはそのまま意識を失ってしまった。
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