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― あれ…? 私、どうなったんだろ…。
目を開くと、天井から吊り下がる白いカーテンが目に映る。
暖かい日差しが差し、リアナを包む白いシーツと毛布を照らしている。
「此処は…。」
身体を起こすと、あちらこちらに傷の処置が施されていた。
しかも先程まではボロボロの雑巾のようだった服が、清潔な白いネグリジェに変わっていた。
「私、まさか天国に来ちゃったの?」
「残念だが、天国じゃない。現実だ。」
突然男性の声がし、リアナは周りを見渡す。
「だ、誰!?」
「こっちだ。」
日向が当たらない扉付近に置かれた椅子に、誰かが座っていた。
「目が覚めたか。」
「あ、貴方は…?」
「ルバンツェ。ルバンでいい。」
目を凝らしてみるが、暗くて姿が見えない。
「貴方が助けてくれたの…?」
「あのまま放っておけなかったものでな。」
「あの…。顔、見せて下さる…?」
「見たければこっちに来い。」
「え?」
相手の返答に、リアナは目を点にした。
― どういう事…!?
「動くのがツラいなら、夜にするんだな。」
「夜に…?」
「日差しに出たら火傷する。」
「は、はぁ…。」
「もう少し寝ておけ。身体だけじゃなく、精神も参ってる筈だ。」
「は、はい…。」
リアナは渋々身体を横に倒し、再び眠り始めた。
コンコンッ!
扉を叩くノック音がした。
「入れ。」
「坊ちゃん、旦那様がお呼びです。」
「…分かった。」
青年は椅子から立ち上がり、部屋を後にした。
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