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「薫宮さん、貴女、また新堂先生の邪魔ばかりして…。他の取り巻きの女子生徒だって、授業サボってまで来たりしないのに…。」
「別に、あたしはー」
「それに、保健室には担任の許可が無ければ入室禁止になっているでしょう?」
冷たい大人の目。
馬鹿にしたような口調…。
飽きるくらいに味わった、こんな雰囲気に。
あたしも負けじと汚い言葉を吐き捨てる。
「…取り巻きってナンデスカ?ファンって言って下さいよ。つうかあたし、新堂先生のファンなんかじゃないし」
「貴女ねぇ、何て口が悪い…!」
「先生だって、新堂先生が気に入ってるからこうやって来るんでしょ?先生は英語の教師なのに、こんな暇してる新堂先生の手伝いなんか、一人だって要らないよ!」
花畑先生があたしを汚いものみたいに見るから、
あたしもじっと花畑先生を見る。
…絶対負けたりなんかしない。
あたしは、こんな奴に一歩も引いたりなんかないんだ。
「…花畑先生、薫宮さん、僕が呼んだんですよ。」
「え…」
キイ…
イスを引いて、先生も立ち上がってあたしに手を回し、
首裏まで回して、あたしの横に顔を近付けた。
「あ……なた達、教師と生徒がそんな…!」
「手は出だしていませんよ。…俺が彼女を気に入ったから、呼び出しただけデスよ。」
「そ………んな…」
「それに、彼女は大学に行くだけの頭は有るでしょう。一日二時間くらいサボったって、毎日登校はして来るんですから。」
「新堂先生……!」
悔しそうに、花畑先生が先生を見つめる。
先生……………!
「ほら、薫宮さんももうクラスに戻りなさい。花畑先生、先生には少しお話しが有ります。」
「先生………っ」
あたしがパッと顔を上げても、先生は営業スマイルしか返さない。
「薫宮サン、また明日。」
「え…。」
先生……………?
「薫宮さん、クラスに戻りなさい…」
花畑先生が低い声で、あたしの手を引き、
結局あたしは追い出されてしまった……。
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