第一話 【黒く賢(さか)しく美しく】

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「ど、どうして? 可愛いでしょ?」 「可愛いのは認めるけど、隣のおばあちゃん丈の短い履き物もキラキラも嫌いなのよ。お母さんだって心配だわ、春先は変質者も多いって言うし。ねえ、やっぱり着替えたら……」 うっ…… 絶対イヤ! 「これがいいのっ! 今日は暖かいし、それに短くてもズボンだから平気だってば!」 昨日遠出して買ったマイクロミニの黒い短パン。 ポケットの飾りとキリッとした形に一目惚れして、ちょっと高かったけどお小遣い叩いて自分で買ったんだから。 レース柄の黒いオーバーニーに、ヒールのある黒いロングブーツを合わせて。 トップスはふんわり、ひらひら。短パンに程よくかかる長さの、透け感のある小花柄のコーラルピンクのシフォン。花の真ん中や葉っぱがいくつかラメ加工されていてとっても可愛い。 ウエストには細く華やかなベルトも巻いて。 お気に入りのブレスレットも着けて。 「う~ん、でもねぇ……」 「いってきま~っす!!」 長くなりそう。 そう思い私はさっさと街へ飛び出した。
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