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なんというか、独り言を知らない人に聞かれるというのは存外、恥ずかしいものだね。うん。
さらに内容が下らない、馬鹿馬鹿しい愚痴だったりするともう、顔から出る火で辺り一面焼け野原に出来そうなくらい、恥ずかしい。
いや、普通の人は知らないけど、少なくとも僕はそうだ。
「……うん。ありがとう」
とりあえず、お礼。
少なくとも、この子のおかげでさらなる恥じを晒すことは免れたわけだからね。
「いえ。余計なお節介ではありませんでしたか?」
「いいや、君のおかげで僕は放火魔にならずにすんだよ」
「そうですか。それは良かったです」
「……」
……いや、別にね?
何かリアクションを期待して言ってみたわけじゃありませんよ?
でもここまで綺麗にスルーされると、なんだか僕が危ない人みたいになっているんじゃないかなーなんて。思ってみたりするわけですよ。はい。
「……お兄さん」
不意に、少女が口を開いた。
「あ、何?」
一抹の寂しさと焦りを感じていた僕は若干の期待を込めて応える。
「この距離にツッコミはなしですか?」
「……」
ツッコミ待ちだったらしい。
っていうか、態とだったのか……。
いや、当たり前だけど。
「えっと、近すぎるよ……?」
「……」
とりあえず、ツッコミを入れてみた。
……なんて言うか、うん。
グダグダじゃん。僕ら。
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