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「いえ。ここは私の特等席ですので」 前を真っ直ぐ向いて言う女の子。 ツッコミ待ちじゃないのか……。 ……ていうか、え? 特等席? 「……僕の膝の間が?」 「は……?」 見上げる様にして顔を向ける女の子。 体勢的に、上下逆さまな僕の顔が女の子の瞳に映る。 「いや、気にしないで。ただの妄言だから」 このベンチが、だよね。 何考えてるんだろ、僕……。 「そうですか?」 意味不明な事を言う僕に、可愛らしく首を傾げる女の子。 ……なんか、抱き締めちゃいたい。 「……って、駄目だ駄目だ、僕」 「え?」 またしても首を傾げる女の子。 「うん、気にしないで」 言いながら、少女の頭を撫でようとして――― 「―――っ!!」 パンッ! 「へ?」 女の子に、手を払われた。 女の子は僕の手を払うと同時に素早く立ち上がり、僕から放れる。 「えっと……ごめん」 何か謝ってばかりだな。今日の僕。 呆然として言う僕に、女の子は眉根を寄せる。 「……私に触らないで下さい。触られるのは嫌いです」 「……」 いや、先に近付いて来たのはアナタですよ? っていうか、ほぼ密着してたんですけど?
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