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「私から触れるのは良いんです。心の準備が出来ますから」
心の準備って……。
キスするわけでもないのに……。
「知らない人に触られるのは嫌いです」
もう一度言う少女。
「……」
いや、さっきと言ってる事が微妙に違うよ?
これは、あれかな?
自己紹介しろって遠回しに言ってるのかな?
「……自己紹介をすれば知らない人じゃなくなったりする?」
「え?」
む、違ったか?
僕の言葉にきょとんとする少女を見て、そんなことを思う。
……てか、僕は本当に何をやってるんだろうね?
何でこんな見ず知らずの女の子に自己紹介しようとしてるんだろ……。
知らない子なんだから、さっさとこの場を立ち去ればいいのに。
……うん、そうしようかな。
「―――そうですね」
「……え?」
「自己紹介をすれば、知らない人じゃないです」
「……」
出鼻をくじかれると言うか、先手を打たれると言うか……。
しまったな……。
僕が内心で焦ってる間に女の子の中で何かが決まったらしい。
つまり、「自己紹介すれば知らない人じゃない」。
……自己紹介、しないと駄目なのか……。
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