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「……はあ」 溜め息ひとつ。 本当に、今日の僕は一体どうしたのだろうか? さっきからまったく僕らしくない。 いや、「僕らしい」と言うのがどういうものなのか分からないから、「僕らしくない」と言うのもよくは分からないのだけど。 とりあえず、何かが違う。 ……。 女の子を見る。 女の子は、僕の溜め息をどういうふうに受け取ったのか、不安そうに僕を見つめている。 「……人間万事塞翁が馬、か……」 「え……?」 まあ、たまには、こんなトリッキーでアクティビティーで不確かな運命とやらに流されてみるのも、それはそれで一興か……。 「……僕は―――」 「……」 やっと口を開いた僕を見て、姿勢を正す女の子。 ……そう改まれると、やりにくいな……。 「……僕は藍染青(アイゾメアオ)。高校一年生だよ」 「藍染、青……」 噛み締めるように呟く女の子。 「アオさん、ですか……。変わった名前ですね?お兄さん」 「そうかい?僕は結構気に入っているけどね。苗字とあわせれば何と無く諺っぽいしね」 「そうですか」 意味は、僕にはあまり合わないのだけれど。それはそれ、だ。
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