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そこまで言って、ギルはメイド達の方へ視線を向けた。
「レン、早くお嬢様を…」
「わっ、わかったの」
彼の言葉に、レンはマリアベルに近付き、リースと同じように魔術をかける。
すると、マリアベルはすぐに眠ってしまった。
「これで一応は一件落着だな…ぐっ!?」
ギルが自分で腕輪をはめなおしていると、急に苦しそうな声を上げ、自分の身体を抱きながら崩れ落ちた。
「ギル!?大丈夫ですか?」
かなり焦ったような声を上げるリリーナは、慌てて彼の下へと駆け寄った。
他のメイド達も心配そうに彼を見守る。
「だっ、大丈夫だ……。こんなの一晩寝れば治る」
あくまで何の問題もなさそうに振る舞う彼に対し
「ギルのバカ!そんな苦しそうにして、大丈夫な訳ないじゃない!こんな時くらい無理しないで私達を頼りなさいよ…」
アイリは余程心配なのか、目尻に涙を浮かべていた。
「………わかった、俺の負けだ。きちんと話そう」
彼が諦めてそう言うと
「あっ、そう?なら、早く話してね」
アイリはあっけらかんとそう言い放った。
(嘘泣きか。やられたな……)
こうしてギルはまた一つ大人になった。
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